公共政策大学院を志望している方はどれくらいいるでしょうか。おそらく、数はそんなに多くないと思います。しかし、政策大学院はネット上に情報が少ないため、院試対策で苦労している方がいると思われます。そこで、実際にその大学院に通う筆者が各校のサイトだけを頼りに、特徴を比較できるようなまとめ記事を作りました。
筆者は学部上がりの大学院生ですので、社会人目線になっていないところはご留意してください。また、大学院のサイトを見ただけで判断している部分が多いため、主観が強いです。鵜呑みはしない方がいいでしょう。
※日本地図の北から南下していく順で紹介します。また、早稲田大学は現在では専門職ではなく修士課程の大学院となっています。
目次
北海道大学(HOPS)
HPリンク:北海道大学公共政策大学院 – Hokkaido University Public Policy School
魅力:文理関係なく工学が学べ、その他の分野も広く開講
苦労しそうなところ:①北海道から本州へ就活するコスト・手間が大きい、②自由な履修ができるため主体性がないと中途半端になる
推薦書の有無:無
修了要件:42単位(卒論含む)
卒論の有無:6000~8000字(2単位)または2万字(8単位)が選択必修
その他
- 必修が少ない
- コース分けをしても選択必修の要件が一緒
- 東北大のようなフィールドワークがある
- 短期留学もできる
こういう人におすすめ
- 勉強もしながら個人で好きなことにも打ち込みたい人
- 在学しながら将来やりたいことや卒論の内容を考えたい人
- 技術系の公務員に就きたい人
評価資料
参考:地域別の就活にかかる費用
・北海道と中国・四国地方が10万円超えで高くなっている
・交通費が大きく占めている
・アルバイトなどで資金調達をせざる得ない
注意:色がついたセルは内訳をエクセルの関数で足したときに±1円の誤差がありましたが、引用先の金額を優先して修正しました
東北大学
HPリンク:HOME|東北大学 公共政策大学院
魅力:フィールドワークで現場目線の研究力を磨く
苦労しそうなところ:1年間のフィールドワークに時間が取られる、経済の科目が少ない
推薦書の有無:無
修了要件:48単位(卒論含む)
卒論の有無:①8単位が必修、②字数は万単位
その他:①必修が単位の半分近くを占める、②留学する人が少ない
こういう人におすすめ:①現地調査をチームワークでやりたい人、②現場目線を大事にしている人
評価資料
東京大学(GraSPP)
HPリンク:東京大学公共政策大学院 | GraSPP
魅力:なんでも学べる無敵のオールマイティー
苦労しそうなところ:英語で話せることを求められる
推薦書の有無:有
修了要件:46単位
卒論の有無:2単位または6単位を選択してもしなくてもいい
その他:他の公共政策大学院の魅力を全部詰め込んだ感じ
こういう人におすすめ
- 将来はキャリア公務員または大手企業
- 海外など場所に取らわれずに活躍したい人
- 留学したい人
評価資料
一橋大学(IPP)
HPリンク:一橋大学国際・公共政策大学院-IPP
魅力:数学中心の経済学で政策研究するならここ
苦労しそうなところ:「公共経済」だけ必修が多く、政策提言もするため他プラグラムと束縛感に差ができて、不公平感がありそう*5
推薦書の有無:有(2020年度以降)
修了要件:44単位(研究論文は単位要件に含まれない)
卒論の有無:有*6
- 「アジア公共政策プログラム」は必須
- 「公共経済」は卒論に近いもの(コンサルティング・プロジェクト)が必修
- その他のプログラムは任意
その他
- 「公共経済」プログラムが一番忙しそう
- 個人で研究に専念という意味では修士課程と似てる
- ①「公共法政」は法律専攻、②「グローバル・ガバナンス」は国際政治など*7、③「アジア公共政策」は経済学関係を英語で学びたい人向け(9月入学でアジアの学生が主な対象)
こういう人におすすめ
- 「公共経済」:個人でコンサルティングがやりたい人
- 「グローバル・ガバナンス」:ダブルディグリー制度で留学したい人
評価資料
早稲田大学(元専門職大学院)
※現在は専門職学位ではなく、修士を取得できる大学院となっています。
HPリンク:グローバル公共政策コース – 早稲田大学 大学院政治学研究科
魅力:教員からの手厚い指導で論文執筆、研究者養成
苦労しそうなところ:研究をしつづける強いマインドが必要そう
推薦書の有無:無
修了要件:32単位+卒論
卒論の有無:4万字
その他:①博士を志向しやすい、②就職状況が詳しく公表されていない、③グローバルという名前の割にはカリキュラムが普通
こういう人におすすめ:①好きなことを研究で追及したい人、②博士課程も考えている人
明治大学
HPリンク:ガバナンス研究科 (公共政策大学院) | 明治大学
魅力:東京で地方創生を学ぶ
苦労しそうなところ:①夜間授業が多い、②土曜日も授業が入りやすそう
推薦書の有無:無
修了要件:40単位+卒論
卒論の有無:2万字
その他
- 給付奨学金が定員の約半数に支給
- 出願書類の準備が重くなさそう
- 公務員試験の専門学校と提携した講座の無料受講が可能
こういう人におすすめ
- 地域について学びたい人
- 社会人学生
- 地方公務員志望
評価資料
京都大学
HPリンク:京都大学公共政策大学院
魅力:自由な履修制度で経済産業省の政策が学べる
苦労しそうなところ:自由な校風なため主体性が求められそう
推薦書の有無:無
修了要件:48単位
卒論の有無:2万字、6単位(任意)
その他:①北大と同じくらい自由度が高い気がする(授業の難易度は考慮しない)、②東大よりは受験のハードルが低いと思われる
こういう人におすすめ:①経済産業省に行きたい人、②自由な校風を望む人
評価資料
各大学院の特徴まとめ
その他と対象者は優先度が高いもの1つに絞っているため、筆者の偏見があることに注意してください。また、一橋は独特な公共経済プログラムに関することがほとんどなので、他プログラムを志望している方はご自身でサイトを調べてみてください。
学部の新卒が受験できる入試で推薦書が不要で受験できる大学院は、北大、東北大、明治、京大となっています。ゼミに所属していない独学の方はこちらから選ぶことになると思われます。
大学院独自の留学制度があるのは、北大、東大、一橋で、ダブルディグリー制度があるのは東大、一橋です。他大学院で留学したかったら、全学部向けの留学制度を御利用ください。
筆者視点によるグループ分けですので、着眼点によって変化すると思います。皆さんもやってみるといいでしょう。例えば、国際性、社会人向け、現場主義などでも分けられます。
試験内容の比較
・難易度を考察すると、東京、一橋>京都>北海道、東北>明治 かも
→負担項目*9:東京5つ、京都3つ、一橋4つか5つ、北海道3つ、東北3つ、明治3つ
・明治は提出書類の準備も軽いだろうから、滑り止めの候補ではないか
・ゼミに入っていない独学の方は、北海道、東北、京都から2つくらい選んで、不安だったら明治も追加で併願するのが安全かも
まとめ
ということで、各大学院の特徴が比較できるようにまとめることができました。これでノンゼミで独学の方がどこを受験すれば良いかの参考になることができたのではないかと思います。
サイトだけでも独特な魅力が分かるので、受験生の皆さんはさらに入試説明会にも参加して、ネットだけでは分からない情報を仕入れてほしいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
*1:キャリタス就活2024「2024年卒 10 月1日時点の就職活動調査」https://www.career-tasu.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/10/202310_gakuseichosa2024_kakuho.pdf
調査対象:2024年3月に卒業予定の大学4年生(理系は大学院修士課程2年生含む)
回答者数:1,174人(文系男子366人、文系女子355人、理系男子305人、理系女子148人)
調査方法:インターネット調査法
調査期間:2023年10月3日~11日
サンプリング:キャリタス就活2024学生モニター
*2:似ているだけで完全に同じではないため、その違いを志望動機にできたらいいかも
*3:大学院在学期間の2年間でIPPと協定校それぞれのプログラムで学び、在籍要件および単位要件を満たせば、最短2年で2つの修士号が取得できる制度のこと(引用: )
*4:「Capstone演習」というものらしいです。
*5:偏見が強いので鵜呑みにしないでください
*6:字数はサイトには載っていませんでした。卒論の単位数は科目が複数に分かれており、分かりにくいため明記しないことにします。
*7:9月入学の外交政策サブプログラムで日本人も英語のみで修了可能(引用:
*8:一橋の小論文は公共法政、エッセイはアジア公共政策が対象
*9:成績開示以外で課されている数